嫌な予感

「ここだ」

いよいよ、書庫の前についた良守たち。

特になんでもない平凡のドア。

「じゃああけるで。」

「ちょっとまて、また何かあるかもしれないから慎重に」

開けようとする葵だったが、良守が提案する。

「それもそうですね。で、どう安全を確かめます?」

「んー・・・とりあえず、これを使うか。」

アレンの問いに、良守はどこからかヒトの形をした紙ー式神をとりだす。

それをなげつけると、それは動き出し、ドアを開けだした。

「ああ!それで何かないか確かめるんだねっ!」

赤ずきんは感心したように言う。

「まぁな」

式神・・・・というのは良守の使う人形のようなもので、良守の能力である。

それで壊れてしまったものを修復できるというすぐれものなのだ。

 

 

 

take12      嫌な予感

 

 

<どがっ!>

盛大に何かが2つ落ちた音がする。

「いったー!」

「結構落ちたなこれ・・・。」

2人は衝撃に顔をゆがめた。そして、こんなことに落ちてしまったことと、よりによって唯一いるのがあいつであるからして

「くそーてめーのせいで変なとこ落ちちまったじゃねーかよ。」

「はぁ?余計な御世話だ!」

互いににらみ合う。

この二人ーエドワードと薫のいる場所は薄暗く、いかにも地下室って感じだ。

「-ってこう言い合っている場合じゃなさそうだ、ここは地下?」

「暗くてなにもみえないなー」

薫の言うように暗くて何も見えなくては行動もできない。

ごそごそ

後ろから聞こえる音に薫は顔をしかめた。

「なにしてるの?」

「明かりだよ、明かり。暗くちゃ不便だろ?」

「え?用意してあったのか。」

「一応な、おめぇも用意しとけよな。先輩に感謝しろ」

「なんかその言い方むかつく・・・」

エドの言い分に薫は嫌な顔をして不機嫌になったが、ここは明かりが確保できたので何も言わないでおく。

「よしついた・・・って・・・・・・・・・え?」

「な、なんだ!?」

明かりをつけた途端、周りの光景に驚く。

 

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「「はぁ・・・・。」」

疲れ切った顔をしている二人はその場にしゃがみこんだ。

「ぜんぜん何もねーじゃねーか・・・ほんとに脱出できるのか・・・?」

「たぶんな・・・・。でも唯一見つけたのがあれじゃ脱出しようがねぇなぁ」

閉じ込められた、ミルモ&銀時である。

二人は何か部屋を出るための手掛かりをつかもうと広い会議室を捜索していた。

さんざん探しまくった挙句、見つかったのは、黒板横のなにかの装置だけ。

さんざん動き回ったようで、二人ともほんとに疲れた様子だ。

その装置には、1から9までの番号とえんたーのボタン。小さい液晶がついている。

見るからに、正しい数字を入れれば出られるかもと思わせるものであった。

だが、その数字は分からない。。

「なぁ、ミルモ。あそこにいれる数字の心当たりはねーの?」

「知るかよ・・・知ってたらとっくにやってるっての。」

とにかく今は休むしか選択肢のない二人であった。。

(ほんとに俺たち、ここからでられるのか?嫌な感じしかしねー・・・)

 

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「どうだ?」

書庫の安全を確かめている式神に問う良守。

その式神は首であろうところをたてに動かした。

「大丈夫そうだな・・・。ん?」

それを見て安心するも、ひとつ、何やら紙切れを持ってきた式神がいた。

良守は疑問に思いつつ、その紙切れをとって読んだ。

「・・・・?」

「何がかいてあるの?」

アルフォースがのぞいて言ってくる。

「・・・よくわかんねぇ。数字?」

「ちょっと見せてみて。」

わからない良守の様子に、紫穂はその紙切れを見せるように促す。

「ああ。」

紙を受け取った紫穂は、目をつぶりしばらく黙った。

超能力をつかっているのだろう。

 「・・・・・なにかのパスワードみたい。」

「パスワードって、なんのや?」

「扉を開けるためのものみたい。けど・・・・、」

「ここのはもうあいてるで。」

紫穂の答えに疑問を掲げる葵。

「どこか別のところなのかも。」

 

「やっとついたのだ。早く書類を持って帰るぞ。」

「ガッシュはその書類の場所がわかるのですか?」

「もちろんなのだ。昔聞いたときがあるからな。」

アレンの問いに、ガッシュは余裕そうに答える。

書庫というだけに本はたくさん並べて置いてある。国際図書館並みだ。

「確か・・・・」

その中をまわって確認する。そしてその場所の前に立つ。

「ここの本棚の中にある。」

「うわー結構な数ですね。どれだろう?」

アレンは顔を見上げてそれらしいものを探す。

「ウヌ、結構上のほうにあるのぉ」

「あ、はい。これでしょ?」

いつまにいたのやら、アルフォースが後ろにいて一冊の分厚い本をだした。

「それなのだ!ありがとうなのだ、アルフォース!」

アルフォースがとったことで、なんとか書類はゲットできた。

「どういたしまして。」

あとはみんなを探し出し、ここを出れば・・・。

「あれ?」

ほっと息をついてみると、赤ずきん、良守、葵、紫穂の4人は何やら話しあっていた。

「やっぱりそれ、地下へ続く鍵なんじゃない?いなくなった人たちも薫たちもきっとそこにいるよ!」

「たぶんね。」

赤ずきんの言葉に紫穂は賛同する。

「でも地下へはどうやっていくん?前はなかったんやろ?」

それに葵は疑問をかかげる。確かに、ここが成り立っていたときは地下室なんてなかったのだ。

「んー・・・・ここまでくるときも怪しい場所はあったがそれらしきところはみあたらなかったな。」

と、良守。

「どうしたんですか、真剣な顔をして。書類は見つかりましたよ。」

そこにアレンたちが顔を出す。

「え、もう見つかったの?意外と楽だったねー。」

「まぁね。ガッシュが場所を覚えていたんだ。」

「さすがガッシュ!私は忘れてたよー。」

陽気に赤ずきんはいう。

「ウヌ!はやくみんなと合流して書類の解析をするのだ」

「・・・・考えててもしかたがないわね。戻りながら探しましょう。」

「どういうこと?」

紫穂の言葉にアルフォースは疑問をだす。

「それは行きながら説明するわ。」

「そうだな、あーはやくここから出たいぜ。。」

紫穂の言葉に良守は賛同し、いいながら両腕を頭の後ろにのせた。

 

「ここから出る?そんなことできるとおもってるのか?」

 

「ん?誰か何か言ったか?」

ふと、良守がみんなのほうに振り向いていう。

「いいえ?何もいってませんけど?」

その場にいた全員、なにも言っていないという。

(やっぱここ変な感じがする・・・・・なにかあるのか?)

再び感じた違和感に良守はただ今はそれを胸にしまっておくことしかできなかった。

(これは、俺だけに感じているのか?くそ)

 

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「ピカッチュー!」

「うわぁ!?」

明かりをつけた途端、見えたと思ったら薫に何かが飛びついてきた。

「ポケモン?」

と、エドワード。

「お前、ピカチュウじゃねーか!なんでこんなところに・・・?」

薫は驚きつつも言う。

「くりくりー」

「お?なんだ?確かこいつはクリボー・・・いやハネクリボーか?」

またそこにもう一体。

「この2匹ってこたぁ・・・あの二人がきてんのか!?」

 「・・・・もしかして、はぐれたとかじゃないよな・・・?」

「ピカ、ピカチュウ、ピカピ、カー」

「そうっぽい・・・・。」

また、少なくともあの二人が来ている。そしてこのパートナーであるという2匹とはぐれた。

そのことを確信した二人。

「はー・・・よかったよ、お前なんかと二人じゃなくなって・・・。」

「なんかってなんだよ、このやローが!」

「うっさいちび!」

「はぁ?もう一回言ってみやがれ!」

はたまた始まった二人の痴話げんか。

「ピカチュウ!ピカピカー!!」

「くりくりーくりー!」

喧嘩している二人を止めようとしているのか、だがピカチュウとハネクリボーはなにか訴えかけているようであった。

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(なんか嫌な感じがするなぁ・・・・。)

そう思いつつ、体を休めているミルモ。

はやくここから出る方法を考えなくては。

(だからここには来たくなかったんだ、はやく帰ってクモッチョくいてー・・・。)

そう思いつつ、何かいい方法がないか考える。

「!!」

(そうだっ!なんでいままで思いつかなかったんだ?)

ミルモは何か考え付いたようで立ち上がった。

そして、自らの腕をみる。

(アニコン・・・これをつかえば外部からの連絡だけはとれるかもしれない・・・!)

そう、アニコン。アニメニーズにだけ与えられた通信など色々使える装置。

(出られるかも・・・!)

そのことに希望を見出したミルモ。

「おい、銀時!いい方法が見つかっ・・・あ?どうしたんだよ銀時ー」

ミルモは振り向いて銀時に伝えようとするが・・・・・。

なぜか微動だにしない銀時。ずっと一点ばっかりみている。

「なぁ、おい。」

「?」

「あいつらって・・・・一緒に来てたっけ?」

表情は見えないが、あきらかに動揺しているような銀時にミルモは顔をしがけて視線を遠くに向けた。

「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」

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 (なんなんだよ、この嫌な予感は・・・!)

迫りくる不安に良守はその場に立ち尽くす。

「?どうしたのだ?良守」

その様子にそこにいるみんなが立ち止り、ガッシュが声をかけた。

「!!ガッシュ!」

「っ!」

その一言で何かあると悟ったガッシュはその場から一瞬にして離れた。

<ドシュ!>

そこに、何かが突然現れた。

そう、いままでガッシュのいた場所に。

 

「なぁ・・・それをくれよ」

 

 

その姿にその場にいたもの全員が驚愕した。

その姿は見知ったものだったから。

 

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