この世界はいくつもの世界でできているのは知っている?
もちろんこれから話す世界も一つの世界の話である。
でもその世界がさまざまな世界がひとつになったものだとしたら、どうだろう。。
本来の世界ではなく、一つの世界で暮らすということはどうなのだろうか。。
今、ここに彼らの物語(ロマン)がはじまるーー
ジリりりりり・・・ジリりりり・・・
遠くで目覚ましの音がなっているのが聞こえる。
「キョンくーん朝だよー。早く起きないと学校遅刻するよー!」
いつもならそう聞こえてくるはずだが、今日はないことに疑問をもつ。
自室で寝ていた少年・・・キョンはうっすらと目を開けた。
ふと目覚ましをみてキョンは青ざめる。
「やべっ!!学校!」
そういえば・・とキョンはあわただしく準備しながら昨日の朝のことを思い浮かべる。
昨朝、どことなく玄関を見ると妹が大きな荷物を横に起き、靴を履いているところだった。
「あ、キョン君。ご飯はできてるからね、学校遅れないようにしなきゃだめだよ」
「お前、それ」
と言いかけてキョンはふと言葉を止めた。その大きな荷物の意味がわかったからだ。
「そうか、野外合宿・・だったか?」
「うん、そうだよ!楽しみだなぁ・・・。じゃあ行ってくるね!」
妹は満面の笑みでいった。
「ああ」
朝食をとる間もなしに、キョンは玄関の取っ手に手をかけておもいきりあけた。
玄関を出た先・・・そこには2段ほど降りる階段があって、車を置けるほどのスペース、自転車、目の前には道路があるはずだった。
そう、あるはずだったのだ。。
「・・・・・・・・・・・な・・!?」
驚くのも無理はない、そこは目の前には見たことのないというかテレビやゲームで見たことのあるような草原が広がっていたからだ!
(なんだこれ、閉鎖空間か?)
閉鎖空間とは、キョンの非日常の元凶、普通の人間には興味のない涼宮ハルヒが作り出す、現実に似て非なる世界であった。
突然こんなところにでたのだからそう思うのも無理はない。
だがその証拠にも似た、神人はどこにも見当たらないどころかひと気がないわけでもなかった。
少し遠くに、町らしき所も見える。
(なんなんだこの世界。。あいつのしわざなのか?!)
奇妙なことに、キョンは頭を抱えていたが、後ろに人の気配を感じたためにふりかえった。
「!?」
「お、いたいた。キョン!」
慣れ慣れしく話しかけてきたのは青年だった。声にはどことなく親近感を感じる。
だが、キョンにとっては意外な人物であった。
「・・・・・ぎ・・・銀さん・・・?」
キョンが目にしたのは、まぎれもなく坂田銀時そのものであったが、
どことなく雰囲気もちがって衣装も普段のものではなくゲームに出てくるようなロングコートを着ているのは不可解であった。
「お前、さんって、普通に呼び捨てでいいっていったろ?俺達親友じゃねーか。」
「!!?」(し、親友??!呼び捨てっていつもさんづけ、、だったよな。。)
さらなる状況に混乱するキョン。
「それよかどうしたその服。いつの間に買ったんだ?」
「買ったって・・・この服は・・それより銀さ・・銀時はここで何してんだ?」(とにかく状況を把握しねェと)
「何って魔物退治にきまってるだろーが。お前こそ今まで何してたんだよ。」
(魔物退治!?)
さらなるワードにキョンはまた困惑する。
(それもそうだが、この銀さんは本物なのか?なんか妙に明るいっていうか・・・。)
「おーい黙っちゃてどうしたんだ。様子がおかしいぞ」
(様子がおかしいのはあんただよ・・・)
「?お前・・・」
黙り込んだままのキョンに銀時が話しかけたその時だった。
<ぐおおおおお>
近くで唸るような声がして、それはキョン達のところへ向かっていた。
「!!くるぞ!」
「!?」
目の前に飛び出してきたのは、一匹の狼みたいなものだった。
「あ、あれは・・!?」
「魔物だっ!かまえろ!」
「か、かまえろっていわれてもな・・・」
突然のことに身動きの取れないキョン。
銀時は、もっている剣を取り出して魔物に切りつけた。
それだけでは倒せなかったらしく、魔物も身構える。
「キョン、ガンナーはどうした?」
「が、ガンナー?」
「銃だよ、いつも持ってただろお前。」
そんなこと言われたって、キョンにはそんなもの持ち合わせてなかった。
もってるのは、学校に持っていくための鞄のみ。だが、さっきから鞄が妙に重い。
(なにか、入ってるのか?)
そのままというわけにはいかないので、鞄を開けて中身を探る。
そして、鞄には入ってなかったもの、否持っているはずがないものが入ってるのに目を疑う。
(銃・・・!?なんでこんなもんが・・!)
弾も入っていた。銃の知識は・・・ハルヒの起こす事件の数々のおかげか少しはあった。
「それだ、それ。さっさと倒すぞ」
銀時の声にハッとしたキョンは銃を構えて、その魔物に向かって連射していた。
<ぐぉおお>
その瞬間、魔物は断末魔を上げるとともに、消えてしまった。
「はい、終了ー」
「はぁ・・・なんだってんだ・・・」
戦闘が終わったことにため息をつき、尻もちをつくキョン。
その手には、銃を持ったままだった。
「お前、常に使えるようにしとかねーと命取りだぞ。」
「・・・・・そうみたいだな」
キョンの頭の中は、もはや思考回路を失っていた。
(これはきっと悪い夢を見てるんだな、早く目覚めろ俺!)
「ミッションも終わったし町へ戻るか。またいつ魔物が現れるかしんねーしな」
(ミッション・・・?)「あ、ああそうだな・・」
二人は目の前にすでに見えている町であろうところへ向かう。
キョンはこれが夢ではないこと、とんでもない事態になっていることに気づくのはそんなに遅くはなかった。
銀時のキャラが何故違っているのかもすぐにわかることになる。
next・・・ファーストタウンでキョンはある見知った人に出会う。そして、新たな仲間と目的。この世界の秘密とは・・・?